KR女史へのインタビュー(38)
今回は、創始者モーナ・ナラマク・シメオナ女史の一番弟子で、世界中でもっとも長くクリーニングをしているといわれるKR女史にお話を伺いました。
「私」という存在は何者なのか?
―― 今回は最も基本的なところをじっくりお聞きしたいと思います。ホ・オポノポノを実践するには「私という存在が何者なのか」を知ることが大切、とよくKRさんは仰っています。
KRさん 「自己を知る」ということがすごく重要です。自分という存在について、これまでは肉体だけを意味していたかもしれません。ですが自己には3つの側面があるとホ・オポノポノではとらえています。ウハネ(表面意識)、ウニヒピリ(潜在意識)、そしてアウマクア(超意識)です。ウハネは理性や思考を、ウニヒピリは感情を司っています。それを理解して自分を教育していきます。
問題や不調和があるときは、理性で考えすぎていて感情の部分に乗り込んで管理しようとしているか、潜在意識が表面意識を乗っ取って感情に溺れている。考えすぎているか感情的になりすぎているか、どちらかの状態です。それを整える意味でクリーニングをしたいのです。もし感情に溺れているとしたら、「ウニヒピリ(潜在意識)が今、悲しいと感じている」ということをウハネの理性で受け止めてクリーニングを始める。もし思考がグルグル渦巻いているのなら、これはゼロにするものと気づいてクリーニングを始める。コツは、内省をして、自分が今、この瞬間に何を感じ考えているかに焦点を当てること。その一番の主旨は自分を大切に扱うということです。
この、「私」を構成している3つの部分にはそれぞれ役割があります。ウハネはハワイ語で「お母さん」、ウニヒピリは「子ども」、アウマクアは「お父さん」で、内なる家族が宿っているのです。なかでもお母さんと子どもの側面がカギを握っています。ウニヒピリは私たちの実年齢に関係なく、とっても小さく幼いので愛情とお世話がものすごく大切です。私という小さな子どもを母として保護しながら慈しみ、愛を届けてほしいのです。感情が湧き上がったら、同調して溺れたり、取るに足らないと無視をしたり、善悪をつけて抑えつけたりせず、「嬉しいね」「悲しいね」と受けとめて愛を注ぎます。たとえば具体的に、「悲しい」とか「心配が尽きない」という体験をしていたら、それらの感情はあなたではなくて、すべて私たちが生み出したり受け入れたり抑えつけてきた問題で、潜在意識に保存されている記憶なんです。
停滞から、クリーニングの循環へ
―― その感情を出させた目の前の人物や出来事が悪い!というのではなく、だからといって自分を責めるのでもなく、「本当の原因は誰にもわからない」ということですよね。
KRさん 私たちが認識できていることは氷山の一角です。何が奥底に隠れているのかは表面意識ではわかりません。なので、表面意識と潜在意識が協力しあって、超意識に記憶の消去を託すのです。私たちはクリーニングを通じて「原因となっている記憶をどうか正してください」と嘆願を行っているに過ぎないのです。不調和を溜めこませてきたウニヒピリに許しを請い、慈愛を届けて、抱えている問題の原因となっているネガティブで否定的な記憶をゼロにすることを嘆願するプロセスです。すると問題として認識している記憶だけではなく、気づいていない過去のネガティブな記憶も集めてウニヒピリがアウマクア(お父さんの側面)に上げてくれます。ウハネからアウマクアに直接アクセスはできないんです。
ウニヒピリが抱えていた記憶の負担や溜まっていた不調和を、ウハネが「クリーニングする」と決めることは、車のエンジンキーを回すようなもの。停滞していたエネルギーが流れて循環し始めます。するとアウマクアと神聖なる存在から、バランスと調和をとるためのエネルギーが注がれます。バランスが整うとニュートラルになり、インスピレーションを受け取りやすくなります。すると自分にとって完璧で正しい行動が自然にできるようになったり、完璧で正しい人生を歩むことができるのです。ただ、何かの目的を達成するためとか、願望を実現するためだとか、期待する結果のためにクリーニングするのではありません。クリーニングの結果、どうなるかは誰にもわからない領域です。「こんな願いがあったんだね、そんな期待を抱えていたんだね。見せてくれてありがとう」と、ただクリーニングしてニュートラルになる。たとえば喜びや幸せを感じている時、心地よさの中でもクリーニングすると、鳥たちが寄ってきたりさえずりが大きく聞こえたりして、整った状態が身の回りに反映していく感覚がありますし、探し求めていたことや諦めていたことの答えを受け取ることもあります。クリーニングの結果は常にポジティブです。
―― KRさんは40年以上クリーニングしていても、「いつでも私は初心者なのよ」と仰います。私も心ががんじがらめになっているときほど我を忘れているので(笑)、「何も外側にはない!」というKRさんの言葉を思い出します。喜怒哀楽どのような感情であってもクリーニングすることで、狭まっていた視野や枠組みが外れるのですね。
KRさん 私たちは瞬間瞬間でクリーニングを必要とする存在です。昨日素晴らしい体験をしたからといって今日どうなるかは別の問題です。今、この瞬間に、具体的に実践的にクリーニングしていたいわけです。自分が今行っている仕事、何に困っているのか、煮詰まっているのか、そういう日常の仕事や人間関係からクリーニングをしたいですよね。何であれ自分の意識に上がるということが重要な記憶です。せっかくウニヒピリが「ねえねえ!こんな記憶を抱えてるの!」と見せてくれているのだから、消去してゼロになった自己を生きていきたいですよね。
―― 本当に。気を抜かず、ウニヒピリとの絆を大切に瞬間瞬間をクリーニングですね。ありがとうございます。
(インタビュー:高木 みのり)
(『元気な暮らし』2020年11月号掲載)
KR女史(Kamaile Rafaelovich)
SITHホ・オポノポノ代表。19歳からホ・オポノポノを実践、クリーニングを主体とした古代ハワイアンマッサージのスペシャリストであった故モーナ女史より直接教えを受けた数少ないボディワーカーの中の一人。
当記事に関して
※当記事は(株)トータルヘルスデザイン発行の無料月刊情報誌『元気な暮らし』に掲載された記事を元に再構成をしております。
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