ネロ・チェッコンさんへのインタビュー(18)
今回は、故イハレアカラ・ヒューレン博士の元でクリーニングを実践してこられた講師の一人、ネロ・チェッコンさんのインタビューです。
からだの感覚はすべてウニヒピリの訴え
―― ホ・オポノポノの講師でいらっしゃるネロさんが、最近「思考に囚われて自分を見失う」ほどのご経験をされたと伺いました。日常生活を送る上で、そのような局面は誰にでも起こりうるので、どのようにしたら「内なる平和」の静けさを取り戻せるのかについて伺いたいと思います。
ネロ・チェッコンさん(以下、ネロさん) 私は講師として、「思考が堂々めぐりして止められない」状態を、どうクリーニングしたらいいのか熟知しているはずですよね(笑)。でも2、3ヶ月前から、人生で初めて「自分にはどうにもならない」出来事のオンパレードで、いかに「彼ら」が私を切り捨て裏切ったのかとか、どう対処すべきだったのかといった思考に囚われて、傷つき、寝込むほどだったのです。
もちろん「彼ら」という外側の問題ではなく、自分自身の潜在意識に溜め込まれた記憶の再生によるものだということも頭ではわかっています。パラドックスですよね。でもあまりに衝撃的な出来事に直面して、記憶のしがらみを断ち切ることができず、自分自身からどんどん離れていって体調も崩して、非常に難しい状態に陥りました。それまでの知識や経験を元に表面的に対処できるようなものではなかったので、一切の経験を超越して、「ゼロ(無)の状態」とはどういう意味なのかを、これまで以上に深く内省する機会としてとらえ直すことにしました。ウニヒピリと肉体との関係性を再構築することにしたのです。自分自身というものを再認識してつながり直すのは大変でしたが、結果的に素晴らしい気づきがあり、思考に悩まされることがなくなったのです。
―― 具体的にどんなことをされたのですか?
ネロさん まずは、痛みをはじめとするカラダの全感覚を、「ウニヒピリの表現」として受けとめました。「何をどのように感じているのか」を味わって内省し、「自分自身とつながり直す」機会にするよう務めたんです。日常から離れてミャンマーへ行き、携帯電話やパソコンを使うのを10日間断って、ヴィッパサナー瞑想を通じてクリーニングに集中したのです。
―― 日常を遮断するためにミャンマーまで!?それはすごく思い切った決断ですね!でも、そこまでして自分自身と向き合ったのですね。
ネロさん イタリアに留まっていたら頭にこびりついた思考が堂々めぐりをして離れず、消耗して気が狂いそうでした。私たちの意識は、すぐに外側に向かいがちになってしまいますしね。でもヤンゴンに入って瞑想センターで10日を過ごしたことで、「自分自身をジャッジする必要は一切ない」という、非常に重要で美しい気づきを得ることができたんですよ。
「ゼロの状態」とは、感覚的にはわかり得ない分野ですが、結果として「静けさの中でウニヒピリに耳を傾けることの大切さ」が身に染みてわかり、「カラダと魂のつながり」を取り戻すことができるというようなものです。
人生の中では、挑戦としか表現しようのない出来事が起こります。インターネットや通信手段といった交流のすべてを10日間も遮断して、自分自身だけに集中するというのも大変なことですが、私たちは思考でいかようにも自分自身と向き合うことから逃げられますからね。でも自分自身に誠実に生きることへの情熱があれば、乗り越えられる。流れに任せて手放せた、本当に感動的な体験ができました。
もちろんすべての痛みを手放せたわけではないし、ともするとエゴが立ち上がって「これが私だ」と主張し始めることもあります。でも想像してみてほしいのです。「私」という記憶こそが、私という形をつくり、「私を騙し傷つける人々とのつながり」を築いてきたわけです。「ゼロの状態であれば、私の本質を傷つけるものは何もない」。その真の意味を深く体験できたのは、大きかったですね。
―― 私たちの本質は「無と無限」なんだという気づきですよね。じつは、まさに私も似たような体験をしたので、すごく不思議に感じます……。
ネロさん まさに私たちのいのちはひとつで、分離がないという証ですよね。
「私」という鋳型をゼロにする
ネロさん 「自分自身をゼロの状態にする」ことに関連して、わかりやすいエピソードがあるのでシェアしたいと思います。先日のクラスで「どのようにして黒魔術から身を守ればいいですか?」という質問を受けたんですよ。
―― 黒魔術……ですか?
ネロさん 人の意識による呪いとか、地縛霊といったネガティブなエネルギーの類です。私自身も標的にされたことがあるのですが、そんな局面でも、自分自身が「ゼロの状態」に立ち戻ることができれば、「ゼロ」を的にすることはできません。ターゲットがないからです。ですから「原因と結果」でさえも記憶だということ。創始者のモーナ女史いわく「SITHホ・オポノポノは、“原因と結果”という概念そのものでさえも記憶として手放すことができる」のだということ。結果とは、誰か他の人との間で溜め込まれた記憶で、私たちの人生を形作り問題を引き起こすのも、この記憶があるためです。形、というのはスマホに縛られてしがらみを断ち切れないことだとも言えますよね(笑)。「ゼロに戻る」というのは、自分自身が抱えてきた古い記憶の鋳型を脱ぎ捨てるチャンスでもあるということ。
―― 私たち現代人はスマホに依存し過ぎていますからね(笑)。
じつは黒魔術と聞いてさらにビックリしています。ここ数年、黒魔術的な呪いのバイブレーションが常にまとわりついていたので、それに反応して自分自身の細胞が打ち震えてアナフィラキシー状態のようになってしまい、辛い思いをしてきたのです。ウニヒピリのケアに務めてクリーニングしてもどうにもならないし、逃げてしまおうかと何度も思いました。
ネロさん それで実際に逃げ出したの?
―― それが突然、何かが溶けて解決したんです。ちょっと前に伊勢神宮の吉川竜実先生に同行してハワイに行ったのですが、モーナ女史が「私はわたし」「わたしの平和」という2つの祈りを授かった海岸で、腰まで海水に浸かってその祈りを唱えていたら、さざ波やそよ風や陽射しといった身の回りの自然界全体が言葉に呼応してくれるという体験をしました。それはすごく深遠で、パワフルな出来事でした。それ以来何かが動き出したのを感じています。
ネロさん それはすごく大きな浄化を体験しましたね。
―― 「黒魔術の振動だと認識して、嫌悪で打ち震える」こと自体が、それにまつわる何かしらの記憶があるからで、そんな記憶をそもそも持っていなかったら、感じることも認識することもありませんよね。
ネロさん そう。だからこそ私たちは自分自身だと思い込んでいる鋳型を、リセットしてゼロに戻ることが非常に重要です。日常生活ではなかなか気づけないですが、私たちは過去の記憶のしがらみと強く結びついてしまっていますからね。
(次回に続く)
(インタビュー:高木 みのり)
(『元気な暮らし』2024年10月号掲載)
ネロ・チェッコン
イタリア・ヴェローナ在住。巨大企業のテクニカルディレクター、アーサー・アンダーセン(現アクセンチュア)経営コンサルタント、ヨーロッパ大手金属メーカーのコンサル指揮を経て同メーカー役員に。また現在ヴェローナ市裁判所の民事訴訟科テクニカルアドバイザーとして、法廷内における企業間ビジネス訴訟および裁判審査の技術的判断を行っている。ビジネスや法廷、個人(夫・父親)といったさまざまな立場の中でSITHホ・オポノポノを実践し、ヨーロッパ、日本、台湾で講師として活動している。
当記事に関して
※当記事は(株)トータルヘルスデザイン発行の無料月刊情報誌『元気な暮らし』に掲載された記事を元に再構成をしております。
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