平良アイリーンさんの講演レポート(4)
トータルヘルスデザイン京都本社で開催した『Aloha!』『ホ・オポノポノ ジャーニー』著者である、平良アイリーンさんの講座レポート・後篇をお届けいたします。
「好き」は、記憶!?
去年の1月に台湾人の男性と結婚し、台湾で暮らすようになりました。ヒューレン博士とKRさんに報告をしたとき、「結婚は、クリーニングのためにするんですよ」と伝えられました。それなのに台湾で暮らし始めて1年、私はほとんどクリーニングを忘れていたんです。次々に現れる記憶の数々を、現実だと思いこんでしまったんですね。自分がゼロになっていく体験を重ねてきた分、記憶にしがみついていることがどれだけ苦しいか、痛感します。これをとことん味わいつくした、久々に地獄のような時間でした(笑)。
「誰かを好きなら、その好きの理由をいっぱいクリーニングするのよ」って、昔からKRさんに言われてきました。「好き」も記憶、ゼロ以外、すべてが記憶だそうです。「好き」を通して、長年溜めこんできた記憶をクリーニングしたいんですね。
でも私は、主人を「優しくて誠実で、すごくいい人!」と感じていたことを、クリーニングしたことがありませんでした。それで何が起きたかというと、「誠実すぎて真面目すぎて、もうめんどくさい!」って、なってきたんです。しまいには「もうちょっと抜け感のある人の方が、私には向いてるんだ、間違えた!」「あの堅苦しさ、ほんっとにムリ!」とか(笑)! 台湾の人は家族との時間を大切にしていて、主人も8時には帰宅するんですが、それもだんだん「なんで定時に帰ってくるんだ、残業も休日出勤もしないし、男の人はもっと働いて外で人と会ってこなきゃ」とか…もう、ぐちゃぐちゃなんです(笑)。このあいだまで言っていたことが懐かしく思えるほどに、すべてが破壊されていきました。
台湾も、ヒューレン博士のサイン会のイベントで初めて招かれたとき、なんていい国だろうと思ったんです。日本と近いし、みんな英語か日本語を話すし、こんなに外国人として受け入れられる国、ほかにないなぁと。「喜怒哀楽がちゃんと表に出て、建前みたいなものもなくて正直そう、きっと私にぴったりの国なんだ!」って、私の中でまたドラマが始まって…それもクリーニングしないまま結婚に至ったので、移住してすぐ、「あーもう台湾ムリ」。「うるさい! 思ったことをすぐ言葉にしすぎ! 日本が恋しい恋しい…」(笑)。ちょっと前までビーチサンダルと短パンで歩けるなんて、私にぴったり! と思っていたのに、「もっと洗練された場所にいきたい」とか。

経験を交えながら質問に答える
記憶がすべてに現れる。
もう、これでもかというくらい不平不満があふれ出てきて、どこで何をしていても、不自由な自分なんです。本当に苦しくて、どんどん自分が嫌いになっていって、日本に戻って相談しても、母も弟もスタッフですから、なにか言えば「クリーニングしなよ」で、おしまい。もちろん、クラスを受講したりすれば、その後は「やっぱりクリーニングだ!」と戻るし、自分の中ではやっているつもりでした。でもまた忘れて…もう、このままではどうにかなってしまいそうでした。
そんなとき、私にとってすごく印象的な出来事がありました。
主人が用意してくれた、古いアパートの一室が自宅兼仕事場なんですが、彼は私を幸せにしようと、そこを完全リフォームして、とても居心地のいい場所をつくってくれました。私もクリーニングして、その場所が大好きになったんですね。閑静な住宅街で、目の前が公園、1階が幼稚園。ずっと六本木のビルだらけの環境で暮らしてきたので、「家庭って感じでステキ♪」って思っていたんです。でも、台湾や結婚がイヤになっているのと同じように、ここでも記憶が出てきました。
上に双子の男の子が住んでいて、かわいいけどドタバタ騒ぐし、幼稚園もめちゃくちゃうるさいし、それが終わったと思ったら今度は公園でお年寄り達がギャンギャン騒ぐし、朝は近所から流れてくる中華っぽい音楽と朝ごはんのにおいで目覚める…。「もう、こんなんじゃない!ここじゃ、仕事できない!」って、昼になると静かな場所を求めて、毎日ジプシー生活です。やっと素敵なところをみつけたと思っても、そこもうるさくなって、また違う場所へ…何ヶ月も台北中をさまよっていました。
どこへいっても落ち着かなくて、イヤなものが目に入る。何ひとつフィットしない。地球上に私の居場所はどこにもないような気がして、本当につらくて。「これは、自然の力が必要だ」と思い、海辺へ向かいました。海に面したカフェでコーヒーを買って、海を眺めながら、久々に穏やかな気持ちになりました。その矢先、物売りの男性が現れてまた騒音を…でも、その人にも穏やかに対処できて、「よし!」と思ったのも束の間。その人は海の方へいって…“立ちション”をはじめたんです。
手放して、見えた景色。
トンカチで頭を殴られたようでした。
「もう、降参!」。
逃げても逃げても、何かが手放せていない限り、ついて回る。もう心から、降参だと思いました。そして心の底からウニヒピリに、「ほんと、ごめん!」って思ったんです。クリーニングをしてはいましたが、こうしてずっと見せてくれていたウニヒピリに、ちゃんとかかわる、やさしさのようなものを忘れていたんです。
とにかくその場でクリーニングをして、「今日は、帰って休もう。休みたい」って思って。また駅へ向かって歩き始めたら、ふと「もうちょっと、こっちへ歩きたい」と感じたんです。「今はこれを無視しちゃだめだ」、と思って…きっと疲れきっていて、余計な判断もできなかったんですね。その方向へまっすぐ歩いて行って、気がついたら、とても静かな場所にたどり着いていました。本当に美しい、緑の林の中で、鳥の声しか聞こえません。台北中探しても見つからなかった静寂に、やっとたどり着くことができたんです。「ウニヒピリ、ありがとう」って、心から伝えることができました。マングローブが生えていて、居心地のよいベンチがあって…やる気が湧き上がり、仕事のスイッチが入りました。
そのあと、結婚して初めて、幸せだなって思えました。主人はまったく変わっていませんが、仕事はどう? と聞いてくれたり、応援してくれたり。仕事で家を空ける回数が多いことで、自分自身が罪悪感に押しつぶされていたことに気づきました。台湾の歩きにくくて危険だと思っていた道も、楽しくてしかたなかったり、人参一本買うのも苦痛だったのに、買い物もしやすいなぁと感じたり。
クリーニングしていて、ふと本当に「降参だ」、と思ったとき、「今いる場所はここ」ということが開かれたんですね。いろんな記憶が、障害物の迷路を作り出していたんです。無理だと思うと逃げたり、違う道に外れて迷ったりしますよね。でも、ウニヒピリに戻ればいつも、行くべき道を指し示してくれる。想像しないタイミングで、想像しない方法で、すべてが一変することがあるんです。今、存在しているものが見せたい美しいもの、生きるヒントを、見せてくれる。
今では、クリーニングするために結婚した、ということがわかります。「クリーニングするために」、ここにいる。記憶をちゃんとお掃除することで、ウニヒピリとの信頼を育てながら、起きていることに開いている自分でいたい、そう思っています。ありがとうございました。
(文責:滝澤 朋子)
(2015年11月『元気な暮らし』掲載)

ブログ Aloha!
当記事に関して
※当記事は(株)トータルヘルスデザイン発行の無料月刊情報誌『元気な暮らし』に掲載された記事を元に再構成をしております。
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