KR女史へのインタビュー(5)
そのものの意思
―― クリーニングをしていて、「うまくいった」という人と、「うまくいかない」という人がいるのはなぜでしょうか。
KR女史 クリーニングして「良くなる」、「悪くなる」、というのは、ただの判断ですから、それも「記憶」の再生です。そこをクリーニングできますね。
―― なるほど、そうですね。
KR女史 「クリーニングしたのに状態がもっとひどくなった、でもそうなるのも何か意味があるのだ」、というところへ行きたいのです。現状をコントロールするためにクリーニングするのではなくて。
私も、何年も結論の出ない仕事があると、不安やイライラが出てきます。でも、それらはただ、「記憶」が再現されている状態ですから、クリーニングするだけですね。
しかしほとんどの人は「期待」があるので、自分の労力、たとえばクリーニングした、という労力に結果が見合わないと、ああでもない、こうでもないと内側で葛藤が起こり、駆け引きが始まります。
―― 私もよく、それに陥っています(笑)。先日、出かけるときにクリーニングをしたはずなのに、行き先の選択が間違っていて、待ち合わせに一時間も遅れてしまいました。「クリーニングしたのになぜ」という気持ちになりました。
KR女史 「なぜ」は、私たちにはわかりません。そういう気持ちになったら、それも記憶ですから、またそれをクリーニングする。その繰り返しです。「期待」がなければ、ただ出てきている体験や感情などの記憶をクリーニングするだけ、だから続けていけるわけです。
―― 終わりはありませんね(笑)。
KR女史 私は先日、香港カトレアの木を買ってきて、クリーニングをして「ここに植えたらいい」と思った場所に植えたんです。しばらくして、その木が枯れてしまいました。さらに嵐がきて、その木が倒れて、それでもクリーニングを続けました。すると倒れたところから根が張ったのです。今ではその場所に根付き、きれいな花を咲かせてくれています。
そのとき、「期待」がないからそのままにしてあげられましたが、「期待」があると、倒れたらもとへ戻そうとか考えますね。私には「ここに植えたら、木は育つ」、という「期待」がありました。それは、クリーニングを妨げる大きな原因です。
木を植えて枯れたのを見ると、頭は勝手に「悪いことだ」と判断し、掘り出して捨てたり、何か手を施そうとしたりします。しかしクリーニングした結果、「そのままにしなさい」、という風に感じたので、そのままにしました。倒れても、枯れそうになっても、ただ起きることをクリーニングしていたら、最終的には、勝手に「自分の場所」まで木が自分で移動したのです。自分の記憶をクリーニングすることで、木も自由になり、したいようにしてくれるのです。
クリーニングしたか、否か。
KR女史 「いかにして〈アタマ〉の影響を受けないか」です。起きている現象、自分の感情に、ただ向き合ってクリーニングすることで、正しい方向へ動いていく。これが永遠に続きます。私の事務所からカトレアの木を見るたび、クリーニングのもたらすものを見る気がするのです。手放して、ただインスピレーションに従っていくのだ、ということを再認識させてくれます。自分のやり方を手放して、「そのものの意思」を見分けるということですね。
―― クリーニングしても、また判断してしまうこともありますが、「すべてうまくいっている」、と捉えるのがコツなのでしょうか。
KR女史 どう解決するか、ということではなくて、「クリーニングしたか、否か」、が尺度なのです。
たとえば、私は仕事でいろんなプロジェクトを同時進行していますが、毎日最終的に自分自身に尋ねることは、「クリーニングしたか?」ということなのです。そのプロジェクトやそれに関わる人々について「クリーニングをした」のであれば、あとはお任せです。なぜクリーニングをするのか、理由はみんなが自由になれるからです。自由があるかどうかは、クリーニングをしてどれだけ手放せたか、です。
先ほどの例が、謙虚さを教えてくれます。木はそれ自身が意思を持っています。私が木の面倒を見て、支配している、というのは失礼ですね。木が倒れたいなら、それを認めて倒れたままにし、移動したいといえば、それを見守ります。仕事も家族もすべて同じ。どれだけ、それに徹することができるかなんです。
―― いつも再認識させていただきますが、クリーニングした結果に重きを置くのではなく、「クリーニングすること」そのものが重要なのですね。ありがとうございました。
(インタビュー:滝澤 朋子)
(2011年3月『元気な暮らし』掲載)
KR女史(Kamaile Rafaelovich)

SITHホ・オポノポノ代表。19歳からホ・オポノポノを実践、クリーニングを主体とした古代ハワイアンマッサージのスペシャリストであった故モーナ女史より直接教えを受けた数少ないボディワーカーの中の一人。
当記事に関して
※当記事は(株)トータルヘルスデザイン発行の無料月刊情報誌『元気な暮らし』に掲載された記事を元に再構成をしております。
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