ネロ・チェッコンさんへのインタビュー(16)
今回は、故イハレアカラ・ヒューレン博士の元でクリーニングを実践してこられた講師の一人、ネロ・チェッコンさんのインタビューです。
そもそも「ビジネス」とは何か?
―― 大阪でクラスが開催されるのは4年ぶりですね。今回のビジネスクラスについて、ネロさんから皆さんにお伝えしたいことを聞かせてください。
ネロ・チェッコンさん(以下、ネロさん) 大阪は日本だけでなく世界にとっても、ビジネス上、とても大切な場所ですね。ですから今回、この地でクリーニングが再開できるということに、ある種の特権のようなものを感じます。
そしてクリーニングを実践することで「生きる」ことの大切さを痛感してきた立場からお伝えしたいのは、本来人生とは、お金や仕事を超えた存在だということです。
ビジネスの世界では、金銭面の心配や悩みやあらゆる問題、職種や肩書きに囚われがちです。だからこそ、この地球上で個々がよりバランスの取れた生き方を取り戻していくには、クリーニングが必要だと感じるんですね。今回のビジネスクラスは、仕事、肩書き、金銭などの制限を取り払うことによって、ご自身の人生にとって何が本当に大事なことなのかがあぶり出され、神聖なる存在から「生き方を表現する手段」としてのビジネスを受け取る素晴らしい機会にしていただけるのではないでしょうか。
―― 本来のアイデンティティに立ち戻って、いのちの可能性を開くということですね。
ネロさん 私たちは誰でも無意識のうちに、何らかの集合的な信念や思考形態から来る怖れによって盲目的になってしまっているとも言えるでしょうか。
たとえば「お金がなければ、平安で調和に満ちた生活を送ることはできない」「お金を得ることで成功しなければならない」「お金を稼ぐために長時間働かなくてはいけない」という思い込みも集合的な信念です。これらは主に企業が利益を得るために映画やテレビやメディアなどを通じてつくられるもので、私たちの人生を自由にする目的ではありませんよね。毒であり恥ずべきものです。この西洋的な概念や文脈の影響にさらされ続けてきたことは、イタリアでも日本でも同じです。集合的な信念とは、すべて記憶なのです。
―― それらは集合的な信念で、記憶なんだと認識することが大事ですね。
感謝が「自分らしさ」に導いてくれる
―― 集合的な信念も記憶なら、クリーニングですね!
ネロさん そうです。クリーニングが凝り固まった信念から解放してくれますし、真実を見出すのを助けてくれます。内側に働きかける努力が必要ですよね。それを見つけては手放していくことです。
特にビジネスの分野は非常に数多くの集合的な思考形態や信念に溢れているので、常にその影響で囚われやすくなっています。これをしっかり自覚して、いったん立ち止まって観察することで、もっと多種多様な生き方があることに気づきやすくなるものです。するとビジネスをしながらでも、それは人生のバランスを取るための手段であり、ツールなのだとわかってきます。お金を得ることは必要ですが、人生の価値はお金の量で測れるものではないのですから。
―― でも人は欲深いものですよね……?
ネロさん そうですよね。優先順位のトップはお金やビジネスではないけれど、収入がなければ生活そのものがブラックホールに陥ってしまいかねませんからね。ときに圧倒されて主従逆転しないように、常日頃から人生のバランスを見直すこと。どれだけお金を持っているか?だけが人生の指標ではないと自覚して、囚われを毎日欠かさずクリーニングすることが大切なんです。
その欲を感謝に代えてくれるのがホ・オポノポノだし、その感謝の念こそが、この社会の中でビジネスを含めた人生そのものに対するアプローチを可能にして、この美しい地球とその大地の上で自分らしく生きられるよう導いてくれます。人生で起こるすべてのことに感謝を捧げられる状態を、ホ・オポノポノがつくってくれるのだと言い換えてもいいと思います。
個人としての生活や、家族や友人、隣人など愛する人々との時間、健康、そして自分自身のケアを優先して、大事にすること。お金はその次だと自覚することで、人生はより豊かで価値あるものになっていくんですよ。
どんな問題にも、解決は訪れるもの
―― 「ビジネス」という単語を聞くと、いつも「忙しい(Busy)」という言葉を連想します。その一方で、日本語で「働く」という言葉の語源が「他(はた)を楽にする」「誰かの人生を楽にしてあげる活動のこと」から来ていることも思い起こされるんです。
ネロさん 常にバランスと調和を重んじる日本文化は美しいですし、そのように捉えるルーツがあるわけです。ところがその美しいルーツや考え方が、集合的な信念の記憶にすり替わってしまっている。日本の方々は、そのことを自覚して、その美しい文化の根源に戻ってほしいなと思います。
クリーニングでもたらされた解決の事例をご紹介します。今年の初めに私自身が経験したことです。ある2つの企業が何年もかけて裁判で争っていて、私はエンジニアとして技術的な解決に導くことができないかと裁判官に呼ばれたのです。双方とも感情的にも物理的にも何年も戦っていて解決の糸口すら見えなくなっていました。そこへ呼ばれたわけですから、本当にさまざまな私自身の感情と、彼らを通じて体験した感情、考え得るさまざまな解決策や折衷案の一つひとつを丁寧にクリーニングしていきました。すると1ヶ月後に行われた2回目の調停で、あれだけ感情的に怒りをぶつけあっていた者同士が穏やかになり、提供した解決策を受け入れたのです。2回目にはそのケースを終わらせることができました。
ポイントは、彼らの怒りや感情の戦いに油を注ぐのではなく、私自身に向かってくる感情も、私自身の内に生じる感情も、彼ら同士ぶつけ合っている感情も、解決策そのものについても、一つひとつをクリーニングしながら双方に対して親切さを表していったこと。「この問題を仲介することは不可能だ……」という感覚が芽生えることもありましたが、それもクリーニングしました。すると7年間も争い続けられてきたことが、2ヶ月で解決できたんです。
―― 一つひとつの出来事を、そこから生じる感情を、そして考え得る解決策すらも丁寧にクリーニングする。大切なのは取り組む姿勢だなぁと改めて感じます。
(次回に続く)
(インタビュー:高木 みのり)
(『元気な暮らし』2023年12月号掲載)
ネロ・チェッコン
イタリア・ヴェローナ在住。巨大企業のテクニカルディレクター、アーサー・アンダーセン(現アクセンチュア)経営コンサルタント、ヨーロッパ大手金属メーカーのコンサル指揮を経て同メーカー役員に。また現在ヴェローナ市裁判所の民事訴訟科テクニカルアドバイザーとして、法廷内における企業間ビジネス訴訟および裁判審査の技術的判断を行っている。ビジネスや法廷、個人(夫・父親)といったさまざまな立場の中でSITHホ・オポノポノを実践し、ヨーロッパ、日本、台湾で講師として活動している。
当記事に関して
※当記事は(株)トータルヘルスデザイン発行の無料月刊情報誌『元気な暮らし』に掲載された記事を元に再構成をしております。
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